公開: 2024年6月9日
更新: 2024年6月9日
アリストテレスがテクネーと呼んだ、専門性の高い、実践に必要不可欠な知識は、細分化されるため、その量は大量になります。実際にその分野の仕事をするためには、そのような詳細に関する知識がなければ、仕事に成功する可能性は低くなります。ですから、一般の人々にとっては、知識の量が多いことは、良い専門家であることの指標になります。
しかし、近代以降の科学を応用した高度な専門分野で必要になるそのような詳細な知識を知っていても、その本質である部分を、しっかりと理解し、実践できなければ、高度な技術的知識は利用できても、それが正しい結果をもたらすかどうかは保証されません。例えば、医学分野で、遺伝子編集で、先天的な病気を発症する遺伝子を変化させて、誕生する子供がその問題の病気を発症しないようにした中国の医師がいましたが、学会では、その行為が正しかったかどうかで、論争を巻き起こしました。
学会での議論では、人間の卵子に遺伝子編集を行い、その卵子を用いて人間の子供を産むことはできても、それを人間の子供に適応することは、倫理的には、許されないとする意見が強いからでした。